【地面師たち_レビュー】リアルな不動産詐欺を描く新時代クライムノベル

地面師たち_レビュー
  • 商品名: 地面師たち
  • キャッチコピー: 圧倒的リアリティで描く、新時代クライムノベル
  • カテゴリ: 日本文学
  • 販売元: 集英社
  • 価格: 814円(記事制作時点での価格)
  • 発売日: 2022年1月20日
  • 商品リンク(アフィリエイトではありません):https://www.amazon.co.jp/dp/4087443388

概要

新庄耕による、不動産詐欺集団「地面師」を題材にしたクライムノベル。妻子を亡くした拓海が大物地面師・ハリソン山中のもとで不動産詐欺を行う姿と、それを追う刑事・辰の捜査を描く。Netflix実写化で話題沸騰中の作品。

商品の特徴

  • 不動産詐欺「地面師」をリアルに描いた新時代クライムノベル
  • Netflix実写化で話題沸騰中の原作小説
  • 360ページの読み応えある内容
  • 犯罪者と警察官、双方の視点から物語が展開
  • 社会派要素を含んだスリリングな展開

リアルな不動産詐欺の世界

本作「地面師たち」は、不動産売買を餌に莫大な金を騙し取る詐欺師「地面師」の世界を描いたクライムノベルです。主人公の拓海は、ある事件で妻子を亡くした過去を持つ男で、大物地面師・ハリソン山中のもとで不動産詐欺を行っています。

物語は、市場価値100億円という前代未聞の物件を狙う拓海たちの姿と、彼らを追う定年間近の刑事・辰の捜査を軸に展開します。双方の思惑が交錯する中、衝撃的な結末へと向かっていきます。

著者の新庄耕は、実際に不動産業界で働いた経験を持ち、その知識を生かしてリアルな「地面師」の世界を描き出しています。

編集部員Impression

「地面師たち」を読了して、まず感じたのは、その圧倒的なリアリティでした。新庄耕の筆力が、不動産詐欺という特殊な世界を生々しく描き出しています。

本作の最大の魅力は、「地面師」という一般にはあまり知られていない犯罪の手口を、詳細に描いている点にあります。不動産取引の裏側や、詐欺師たちの心理描写が緻密で、読者を物語の世界に引き込みます。

特に印象的だったのは、主人公の拓海の複雑な心理描写です。妻子を亡くした過去を持ち、それがハリソン山中と関係しているという設定が、単なる犯罪小説以上の深みを作品に与えています。

また、警察側の視点も丁寧に描かれており、犯罪者と警察のいたちごっこが、スリリングな展開を生み出しています。定年間近の刑事・辰の姿には、読者の共感を呼ぶ要素が多く含まれています。

一方で、本作には若干の課題も感じられました。例えば、一部の読者からは、専門用語や難解な表現が多く、読みづらいという指摘がありました。また、物語の展開が複雑で、追いつくのが難しい部分もあるかもしれません。

しかし、これらの点を考慮しても、本作が持つ独自の世界観と社会性は、十分に読者を魅了するものです。新庄耕の筆力が、不動産詐欺という題材を通じて、現代社会の闇を鋭く描き出しており、読了後も長く余韻が残ります。

「地面師たち」は、単なるクライムノベルではありません。それは、現代社会に潜む欲望と犯罪の構造を描いた社会派文学でもあります。新庄耕の鋭い洞察力と描写力が、読者の心を揺さぶり、社会問題について深く考えさせる作品となっています。

本作は、ミステリー・サスペンス好きはもちろん、社会問題に関心のある読者、そして不動産業界に興味がある方にもおすすめです。また、Netflix実写化版を見た後に原作を読むことで、より深い作品理解につながるでしょう。

読了後、きっと多くの読者が身の回りの不動産取引を、これまでとは違う目で見るようになるはずです。そして、社会の中に潜む詐欺の危険性について、改めて考えるきっかけになるかもしれません。