【白鳥とコウモリ(上)_レビュー】東野圭吾が描く、33年の時を越えた二つの事件の真相

白鳥とコウモリ(上)_レビュー
  • 商品名: 白鳥とコウモリ(上)
  • キャッチコピー: 33年の時を越えて繋がる二つの事件、その真相とは
  • カテゴリ: 文芸作品
  • 販売元: 幻冬舎
  • 価格: 880円(記事制作時点での価格)
  • 発売日: 2024年4月3日
  • 商品リンク(アフィリエイトではありません):https://www.amazon.co.jp/dp/434443370X

概要

東野圭吾による長編ミステリー小説の上巻。1984年の愛知県での金融業者殺害事件と、2017年の東京での弁護士殺害事件。33年の時を隔てた二つの事件の真相に、被害者の娘と加害者の息子が迫る。

商品の特徴

  • 33年の時を越えて繋がる二つの事件を軸にした展開
  • 被害者の娘と加害者の息子という独特の視点
  • 東野圭吾らしい緻密な伏線と予想を裏切る展開
  • 336ページの読み応えある内容
  • 下巻と合わせて完結する二部構成

33年の時を越えた二つの事件

本作の中心となるのは、1984年に愛知県で起きた金融業者殺害事件と、2017年に東京で起きた弁護士殺害事件です。一見無関係に見えるこの二つの事件が、倉木達郎という人物を介してつながっていきます。

物語は、被害者の娘と加害者の息子という独特の視点から展開していきます。二人は互いの父の言動に違和感を抱き、真相に迫っていきます。「あなたのお父さんは嘘をついています」という言葉が、物語の謎を深めます。

東野圭吾らしい緻密な伏線と、予想を裏切る展開が、読者を惹きつけます。

編集部員Impression

「白鳥とコウモリ(上)」を読了して、まず感じたのは東野圭吾の物語構築の巧みさでした。33年という長い時間を隔てた二つの事件を絡ませていく手腕は、さすがと言えるでしょう。

本作の最大の魅力は、被害者の娘と加害者の息子という独特の視点から物語が展開していく点です。この設定により、単なる事件の謎解きを超えて、家族や人間関係の複雑さを描き出すことに成功しています。

また、東野圭吾らしい緻密な伏線の張り方も見事です。読者は物語が進むにつれて、少しずつ真相に近づいていくような感覚を味わえます。同時に、予想を裏切る展開も用意されており、最後まで目が離せません。

一方で、本作には若干の課題も感じられました。例えば、上下巻に分かれているため、この上巻だけでは物語の全容が掴みきれない点があります。また、複雑な人間関係や時系列の変化に、一部の読者が混乱する可能性もあります。

しかし、これらの点を考慮しても、本作が持つ物語の魅力と謎の深さは、十分に読者を惹きつけるものです。東野圭吾の筆力が、単なるミステリー小説を超えて、人間ドラマとしての深みを持つ作品に昇華させています。

「白鳥とコウモリ(上)」は、単なる事件の謎解きではありません。それは、33年という時を超えて繋がる人々の物語であり、家族や人間関係の複雑さを描く作品でもあります。東野圭吾の洞察力と描写力が、読者の心を揺さぶり、人生について深く考えさせる作品となっています。

本作は、東野圭吾のファンはもちろん、複雑な人間ドラマを楽しみたい読者にも強くおすすめです。特に、長い時間を経て明らかになっていく真相に興味がある読者にとっては、必読の一冊と言えるでしょう。

読了後、きっと多くの読者が下巻への期待を高めることになるでしょう。33年の時を越えた二つの事件の真相が、どのように明かされていくのか。「白鳥とコウモリ(上)」は、読者の好奇心を刺激し続ける、東野圭吾の新たな代表作となる可能性を秘めています。