【わかったつもり_レビュー】読解力の本質に迫る、目から鱗の一冊

わかったつもり_レビュー
  • 商品名: わかったつもり 読解力がつかない本当の原因
  • キャッチコピー: 「わかったつもり」が読解力向上を妨げる本当の原因
  • カテゴリ: 教育学
  • 販売元: 光文社
  • 価格: 770円(記事制作時点での価格)
  • 発売日: 2005年9月20日
  • 商品リンク(アフィリエイトではありません):https://www.amazon.co.jp/dp/4334033229

概要

西林克彦による、読解力の本質に迫る教育学の名著。「わかったつもり」という状態が読解力向上の最大の障害になっていることを指摘し、その克服方法を提示する。読解力を磨きたい全ての人におすすめの一冊。

商品の特徴

  • 「わかったつもり」が読解力向上を阻害する原因であることを解説
  • 具体的な事例を用いて、読解力向上の方法を提示
  • 教育学の知見を分かりやすく解説
  • 216ページのコンパクトな新書サイズ
  • 2005年の発売以来、ロングセラーとして支持されている

「わかったつもり」を超える読解力

本書「わかったつもり」は、読解力の本質に迫る教育学の名著です。著者の西林克彦は、多くの人が陥る「わかったつもり」という状態が、実は読解力向上の最大の障害になっていると指摘します。

「わかったつもり」とは、後から考えて不充分だとわかるような理解の仕方のことです。この状態は一種の「わかった」状態であるため、「わからない部分が見つからない」という意味で安定しています。そのため、それ以上の探索活動を妨げてしまうのです。

本書では、この「わかったつもり」を克服し、真の理解に至るための方法を、具体的な事例を交えて解説しています。著者は、「わかる」から「よりわかる」に到る過程における「読む」という行為の主たる障害は「わかったつもり」であると主張し、その克服方法を提示しています。

編集部員Impression

「わかったつもり」を読了して、まず感じたのは、自分の読解の仕方に対する深い反省でした。西林克彦の鋭い洞察が、普段何気なく行っている「読む」という行為の本質を浮き彫りにしています。

本書の最大の魅力は、「わかったつもり」という状態を明確に定義し、それが読解力向上の障害になっていることを具体的に示している点にあります。多くの読者が、自分自身の経験と照らし合わせながら、納得して読み進められるでしょう。

特に印象的だったのは、「わかったつもり」を克服するための具体的な方法の提示です。例えば、文章を批判的に読むことの重要性や、自分の理解を常に疑う姿勢の必要性など、実践的なアドバイスが随所に盛り込まれています。

また、本書は教育学の専門書でありながら、非常に読みやすい文体で書かれています。専門用語の使用を最小限に抑え、具体例を豊富に用いることで、一般の読者にも理解しやすい内容となっています。

一方で、本書には若干の課題も感じられました。例えば、一部の読者からは、具体例の一部(「鶴の恩返し」や「ファーブル昆虫記」を用いた説明)が強引に感じられるという指摘がありました。また、出版から約20年が経過しているため、一部の事例が現代の状況と合わない可能性もあります。

しかし、これらの点を考慮しても、本書が持つ読解力向上への示唆は、現代においても十分に価値があるものです。西林克彦の洞察力が、読者の「読む」という行為に対する認識を根本から変える可能性を秘めています。

「わかったつもり」は、単なる読解力向上の指南書ではありません。それは、私たちの思考や学習のプロセスそのものを問い直す哲学書でもあります。西林克彦の鋭い分析と具体的な提案が、読者の知的好奇心を刺激し、より深い理解を目指す動機づけとなるでしょう。

本書は、学生や教育者はもちろん、ビジネスパーソンや一般の読書愛好家など、幅広い読者におすすめです。特に、自身の読解力に不安を感じている人、より深い理解を目指したい人にとっては、必読の一冊と言えるでしょう。

読了後、きっと多くの読者が自身の「読む」という行為を見直すきっかけを得るはずです。そして、「わかったつもり」を超えて、より深い理解を目指す姿勢を身につけることができるでしょう。本書は、読解力向上のみならず、批判的思考力の養成にも大きく貢献する、現代の必読書と言えます。