【闇祓_レビュー】辻村深月が描く、日常に潜む闇の恐怖闇祓_レビュー【闇祓_レビュー】辻村深月が描く、日常に潜む闇の恐怖

闇祓_レビュー
  • 商品名: 闇祓
  • キャッチコピー: 辻村深月が放つ、本格ホラーミステリ長編
  • カテゴリ: SF・ホラー・ファンタジー
  • 販売元: KADOKAWA
  • 価格: 968円(記事制作時点での価格)
  • 発売日: 2024年6月13日
  • 商品リンク(アフィリエイトではありません):https://www.amazon.co.jp/dp/4041147328

概要

辻村深月が初めて挑戦した本格ホラーミステリ長編。転校生の白石要を軸に、学校、会社、団地など日常的な場面で起こる不可解な出来事と、それに巻き込まれる人々の姿を描く。「闇ハラ(闇ハラスメント)」という新たな概念を提示し、日常に潜む恐怖を鮮やかに描き出す。

商品の特徴

  • 辻村深月初の本格ホラーミステリ長編
  • 日常に潜む「闇ハラ(闇ハラスメント)」という新概念を提示
  • 学校、会社、団地など身近な場面での恐怖を描写
  • 480ページの読み応えある内容
  • 人間の心理や社会問題を鋭く描く辻村深月らしさが光る作品

日常に潜む闇の恐怖

本作「闇祓」は、一見普通の転校生として登場する白石要を軸に物語が展開します。主人公の澪は、クラスになじめない要に気を遣って話しかけますが、要の不可解な行動に次第に違和感を覚えていきます。

物語は学校だけでなく、会社や団地など、日常的な場面に舞台を移しながら進行します。そこで起こる不可解な出来事や、人々の変化を通じて、辻村深月は「闇ハラ(闇ハラスメント)」という新たな概念を提示します。

「闇ハラ」とは、人々の調子を狂わせ、心に悪意を吹き込むような存在による行為を指します。この概念を通じて、辻村は日常に潜む恐怖を鮮やかに描き出しています。

編集部員Impression

「闇祓」を読了して、まず感じたのは深い戦慄でした。辻村深月の繊細な筆致が、日常に潜む闇の恐怖を見事に描き出しています。

本作の最大の魅力は、「闇ハラ(闇ハラスメント)」という新たな概念を通じて、現代社会の闇を浮き彫りにしている点です。学校でのいじめ、職場でのパワハラ、地域社会での差別など、私たちの身近に存在する問題を、ホラーという形式を通して鋭く描いています。

特に印象的だったのは、登場人物たちの心理描写の緻密さです。「闇ハラ」に巻き込まれていく人々の内面の変化が、リアルかつ恐ろしく描かれており、読者を物語の世界に引き込みます。

辻村深月の作品らしく、社会問題への鋭い洞察も光ります。「闇ハラ」という概念を通じて、現代社会に蔓延するハラスメントの問題や、人間関係の歪みを浮き彫りにしています。

一方で、本作には若干の課題も感じられました。例えば、一部の読者からは、オカルト要素の導入が唐突に感じられるという指摘がありました。また、480ページという長さが、一部の読者にとっては読みづらさを感じさせる可能性もあります。

しかし、これらの点を考慮しても、本作が持つ恐怖の質と深さは、十分に読者を魅了するものです。辻村深月の筆力が、日常の中に潜む恐怖を鮮やかに描き出しており、読了後も長く余韻が残ります。

「闇祓」は、単なるホラー小説ではありません。それは、現代社会の闇を鋭く描いた社会派文学でもあります。辻村深月の鋭い洞察力と描写力が、読者の心を揺さぶり、社会や人間関係について深く考えさせる作品となっています。

本作は、ホラー小説好きはもちろん、社会問題に関心のある読者、そして人間心理の深層に興味がある方にもおすすめです。また、辻村深月のファンにとっては、彼女の新たな一面を発見できる重要な一冊となるでしょう。

読了後、きっと多くの読者が身の回りの「闇」について、改めて考えることになるはずです。日常の中に潜む不気味さや、人間関係の歪みについて、静かに思いを巡らせる時間を持つことができるでしょう。そして、自分自身も知らず知らずのうちに「闇ハラ」の加害者や被害者になっていないか、振り返るきっかけになるかもしれません。