【透明な螺旋_レビュー】ガリレオの秘密に迫る、東野圭吾最新作透明な螺旋_レビュー【透明な螺旋_レビュー】ガリレオの秘密に迫る、東野圭吾最新作

透明な螺旋_レビュー
  • 商品名: 透明な螺旋
  • キャッチコピー: 誰も知らなかった湯川(ガリレオ)の秘密
  • カテゴリ: ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
  • 販売元: 文藝春秋
  • 価格: 880円(記事制作時点での価格)
  • 発売日: 2024年9月4日
  • 商品リンク(アフィリエイトではありません):https://www.amazon.co.jp/dp/4167922681

概要

東野圭吾のベストセラーシリーズ「ガリレオ」最新作。南房総沖で発見された男性の銃殺死体をきっかけに、天才物理学者・湯川学の意外な過去が明らかになっていく。ファン待望の文庫化。

商品の特徴

  • ガリレオシリーズ最新作の文庫版
  • 湯川学の知られざる過去に迫る物語
  • 東野圭吾特有の緻密な推理展開
  • 368ページの本編に加え、短編「重命る(かさなる)」を特別収録
  • Amazon本のカテゴリーでベストセラー1位を獲得

物語の核心に迫る、湯川学の秘密

本作「透明な螺旋」は、東野圭吾の人気シリーズ「ガリレオ」の最新作です。これまで数々の難事件を解決してきた天才物理学者・湯川学ですが、本作では彼自身の過去に焦点が当てられます。

物語は南房総沖で発見された男性の銃殺死体から始まります。被害者の同居人である女性も行方不明となり、捜査を担当する刑事・草薙と内海は調査を進めていきます。そして思いがけず、湯川学の名前が浮上するのです。

草薙が湯川を訪ねると、彼は横須賀のマンションで意外な生活を送っていました。これまで謎に包まれていた湯川の私生活や過去が、少しずつ明らかになっていきます。

東野圭吾ファン必読の一冊

本作は、長年ガリレオシリーズを愛読してきたファンにとって、待望の一冊と言えるでしょう。湯川学という魅力的なキャラクターの背景に迫ることができ、これまでのシリーズを読んできた読者にとっては新たな発見と驚きがあるはずです。

一方で、本作からガリレオシリーズを読み始める方にとっては、湯川学という人物の魅力を十分に味わえない可能性があります。シリーズの他の作品を読んでから本作に挑むことをおすすめします。

編集部員Impression

東野圭吾の「ガリレオ」シリーズ最新作「透明な螺旋」を読了して、まず感じたのは深い感慨でした。長年親しんできた湯川学という人物の、これまで知られていなかった一面が明らかになるという点で、本作は他のガリレオシリーズとは一線を画す作品だと言えます。

物語は南房総沖で発見された銃殺死体から始まりますが、そこから展開される事件の謎解きは、東野圭吾らしい緻密な論理と推理で進んでいきます。しかし、本作の真の魅力は事件解決の過程そのものではなく、湯川学の過去と、彼を取り巻く人間関係の描写にあります。

特に印象的だったのは、湯川が横須賀のマンションで送っていた「意外な生活」の描写です。これまで天才物理学者としてのイメージが強かった湯川ですが、本作では彼の人間的な側面、弱さや葛藤が丁寧に描かれています。この「人間・湯川学」の姿は、長年のファンにとって新鮮で、かつ深い共感を呼ぶものでしょう。

また、本作では湯川を取り巻く人々、特に彼の過去に関わる人物たちの描写も秀逸です。彼らとの関係性を通じて、湯川の人格形成や価値観の源泉が明らかになっていく様は、まるで人生の「透明な螺旋」を辿るかのようでした。

しかし、本作には若干の物足りなさも感じました。これまでのガリレオシリーズで魅力的だった、難解な科学的トリックや、湯川の天才的な推理の描写が少ないのです。そのため、シリーズのファンの中には「ガリレオらしさ」を求めて少し戸惑う方もいるかもしれません。

それでも、本作は間違いなくガリレオシリーズの重要な一作です。湯川学という人物の奥深さを知ることで、これまでの作品群を新たな視点で読み返すきっかけになるでしょう。また、本編に加えて収録されている短編「重命る(かさなる)」も、本編とはまた異なる魅力があり、読み応えがあります。

「透明な螺旋」は、単なるミステリー小説としてだけでなく、人間の成長と過去との向き合い方を描いた人間ドラマとしても読むことができます。東野圭吾のファンはもちろん、人間の内面に興味のある読者にもおすすめできる一冊です。本作を読んだ後、きっと多くの読者が湯川学という人物に、そして自分自身の人生の「螺旋」に、新たな視点を得ることができるはずです。