【考えごとしたい旅 フィンランドとシナモンロール_レビュー】ほっこり心温まる北欧旅エッセイ

考えごとしたい旅 フィンランドとシナモンロール_レビュー

商品情報:

  • 商品名: 考えごとしたい旅 フィンランドとシナモンロール
  • キャッチコピー: ほっこり心温まる北欧旅エッセイ
  • カテゴリ: 旅行エッセイ
  • 販売元: 幻冬舎
  • 価格: 660円(記事制作時点での価格)
  • 発売日: 2024年8月8日
  • 商品リンク(アフィリエイトではありません):https://www.amazon.co.jp/dp/4344434064

商品概要:
益田ミリ氏による「考えごとしたい旅 フィンランドとシナモンロール」は、フィンランドでの一人旅を綴ったエッセイ。カフェでシナモンロールを味わい、街を散策しながら人生や自分について考える。美しい街並みや美味しい食事、そして穏やかな時間の流れを通じて、読者も一緒に旅をしているような温かい気持ちになれる一冊。

商品の特徴:

  • フィンランドの日常や文化を生き生きと描写
  • 著者の素直な感想や考察が読者の共感を誘う
  • シナモンロールをはじめとするフィンランドの食文化の紹介
  • カラー写真とイラストで視覚的にも楽しめる構成
  • 旅を通じて人生や自分自身について考えるきっかけを提供
  • 一人旅の魅力や楽しさを伝える内容

本文:

フィンランドの日常に触れる旅

「考えごとしたい旅 フィンランドとシナモンロール」は、イラストレーターとして知られる益田ミリ氏によるフィンランド一人旅のエッセイだ。著者は、観光地を巡るだけでなく、現地の人々が日常的に利用するカフェやレストラン、スーパーマーケットなどを訪れ、フィンランドの日常に溶け込もうとする。

特に印象的なのは、様々なカフェを巡ってシナモンロールを味わう様子だ。フィンランドの名物であるシナモンロールを通じて、その土地の文化や人々の暮らしぶりを感じ取ろうとする著者の姿勢が、読者の心を温かくする。

旅を通じての自己省察

本書のタイトルにもある通り、この旅は著者にとって「考えごとしたい旅」だった。見知らぬ土地で、日常から離れて過ごす時間は、自分自身や人生について深く考える絶好の機会となる。

著者は、街を歩きながら、カフェでコーヒーを飲みながら、そしてホテルの部屋で日記を書きながら、様々なことを考える。それは時に仕事のこと、家族のこと、そして自分自身のことだ。これらの思索は決して重苦しいものではなく、むしろ穏やかで温かい。読者は著者の考えに共感したり、自分自身の経験と重ね合わせたりしながら、一緒に「考えごと」をすることができる。

視覚的にも楽しめる構成

本書の魅力の一つは、カラー写真とイラストが豊富に盛り込まれていることだ。フィンランドの美しい街並み、カラフルな建物、そして何より美味しそうなシナモンロールの写真が、読者の旅心をくすぐる。

また、著者自身によるイラストも随所に挿入されており、文章だけでは伝わりきらない雰囲気や感覚を補完している。これらのビジュアル要素により、読者はより深くフィンランドの魅力に引き込まれていく。

一人旅の魅力

本書は、一人旅の魅力を存分に伝えている。著者は、一人だからこそ気ままに街を歩き、好きなカフェに入り、思う存分「考えごと」をすることができる。この自由さと、それに伴う孤独感のバランスが、旅の醍醐味として描かれている。

一人旅に不安を感じている人にとっては、この本が一つの指針となるかもしれない。著者の経験を通じて、一人旅の楽しさや意義を知ることができるだろう。

編集部員Impression:
「考えごとしたい旅 フィンランドとシナモンロール」を読み終えて、まず感じたのは不思議な安堵感だった。益田ミリ氏の穏やかな筆致と、フィンランドの静かな佇まいが、読者である私の心をゆっくりと解きほぐしていく。

特に印象的だったのは、著者がシナモンロールを通じてフィンランドの文化や人々の暮らしを感じ取ろうとする姿勢だ。単なるグルメ紀行に留まらず、一つの食べ物を通じて、その国の本質に迫ろうとする視点が新鮮で興味深かった。各カフェで味わうシナモンロールの描写は、まるで自分も一緒に食べているかのような錯覚を覚えるほど生き生きとしていて、思わず本を置いて近所のカフェに駆け込みたくなったほどだ。

また、著者の「考えごと」の部分も、とても共感できた。海外の見知らぬ土地で、日常から切り離された時間を過ごすからこそ浮かび上がる思考や感情。それらは決して大げさなものではなく、むしろ日常的で些細なことが多い。しかし、そんな「当たり前」の思考の積み重ねが、旅の本質であり、自己を見つめ直す機会になるのだと改めて感じさせられた。

視覚的な要素も本書の大きな魅力だ。カラー写真で紹介されるフィンランドの街並みや食事は、まるで旅行ガイドブックのようで、読んでいるうちに自分もフィンランドに行ってみたくなった。また、著者自身によるイラストも、文章では表現しきれない雰囲気や感覚を上手く補完しており、より深く著者の体験に寄り添える工夫だと感じた。

一方で、この本が幻冬舎Plusで既に公開されていたエッセイを元にしているという点は、一部の読者にとっては物足りなさを感じる要因になるかもしれない。しかし、写真やイラストが加えられ、書籍という形で手元に置けることの価値は十分にあると私は考える。

「考えごとしたい旅 フィンランドとシナモンロール」は、旅行記としてはもちろん、日常に疲れた心を癒す一冊としても機能する。フィンランドという遠い国の空気を、シナモンの香りとともに感じられる素敵な本だった。海外旅行に行けない今だからこそ、この本を通じて心の旅を楽しんでみてはいかがだろうか。