【書評】『「好き」を言語化する技術』 ― 推しの魅力を伝える、あなただけの言葉の見つけ方

「好き」を言語化する技術のレビュー

書籍情報

  • タイトル: 「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない (ディスカヴァー携書)
  • 著者: 三宅香帆
  • 出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2024年7月31日
  • 価格: 1,320円(税込)
  • ページ数: 256ページ
  • ISBN: 978-4799330838
  • 商品ページ: https://amzn.asia/d/hC4o8aA

SNSやファンレターで「推し」の魅力を伝えたい!でも、いざ文章にしようとすると「やばい!」「すごい!」としか言葉が出てこない…。そんな経験はありませんか? 本書は、そんなオタクの悩みに寄り添い、自分だけの言葉で「好き」を表現する方法を教えてくれる一冊です。

本書の構成

本書は以下の章で構成されています:

  1. 「好き」を言語化するために必要なこと
  2. 「好き」を言語化する3つのコツ
  3. SNSで「好き」を発信する
  4. ブログで「好き」を発信する
  5. ファンレターで「好き」を発信する
  6. 推しの素晴らしさを書いた例文を読む
  7. 友だちと「好き」を語り合う
  8. 音声配信で「好き」を発信する

この構成により、読者は様々な媒体や状況に応じた「好き」の言語化テクニックを学ぶことができます。

本書の魅力

1. 実践的なアプローチ

著者の三宅香帆氏は、自身のアイドルや宝塚への愛を語る経験から得た知見を惜しみなく共有しています。理論だけでなく、具体的な例や実践的なテクニックが豊富に盛り込まれているのが特徴です。

2. 多様な表現方法の紹介

SNS、ブログ、ファンレター、音声配信など、様々な媒体に応じた表現方法を紹介しています。これにより、読者は自分に合った方法を見つけやすくなっています。

3. 心理的ハードルを下げる工夫

「語彙力や文章力は必要ない」という著者のメッセージは、文章表現に苦手意識を持つ人の心理的ハードルを大きく下げてくれます。

4. 自己表現力の向上

「好き」を言語化する過程で、自己理解や自己表現力が向上するという副次的効果も期待できます。

実践的なテクニック紹介

本書で紹介されている言語化の3つのコツを簡単にご紹介します:

  1. 自分の感情を最優先する: 他人の意見や一般論ではなく、自分が本当に感じたことを大切にします。
  2. 妄想を活用して感想を生み出す: 作品や推しについて「もし〜だったら」と想像を膨らませることで、新しい視点や言葉が生まれます。
  3. 良かったところを細分化する: 「すごい」で終わらず、何がどう素晴らしかったのかを具体的に考えます。

これらのテクニックを実践することで、ありきたりな表現から脱却し、自分らしい言葉で「好き」を表現できるようになります。

編集部の評価

本書は、「オタク文章術」という新しいジャンルを切り開いた意欲作と言えるでしょう。著者の豊富な経験と親しみやすい文体で、読者は楽しみながら実践的なスキルを学ぶことができます。

特に印象的だったのは、著者が「自分の言葉」の大切さを繰り返し強調している点です。インターネット上で他人の意見に影響されやすい現代において、この視点は非常に重要だと感じました。

一方で、本書のテクニックを過剰に意識しすぎると、かえって自然な表現が失われる可能性もあります。読者には、本書の内容を参考にしつつ、最終的には自分なりの表現スタイルを見つけることをおすすめします。

総合評価:★★★★☆(5点満点中4点)

「推し」の魅力を伝えたい全ての人におすすめの一冊です。また、趣味以外の場面でも、自分の思いを上手に言語化したい人にとって有益な内容となっています。