【書評】『呪いを、科学する』 ― オカルトと科学の境界線を探る野心作

呪いを、科学するをレビュー
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書籍情報

  • タイトル: 呪いを、科学する (ディスカヴァー携書)
  • 著者: 中川朝子
  • 出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2022年7月22日
  • 価格: 1,210円(税込)
  • ページ数: 200ページ
  • ISBN: 978-4799328804
  • 商品ページ: https://amzn.asia/d/g7LV2TV

超常現象やオカルトに科学のメスを入れる!現役医学生が挑む、呪いの真相究明。本書は、長年人々を魅了してきた「呪い」という概念を、現代科学の視点から解き明かそうとする意欲作です。果たして著者の試みは成功したのでしょうか? 本書の魅力と課題を徹底解析します。

本書の構成

本書は以下の3章で構成されています:

  1. 「外」の呪い
  2. 「内」の呪い
  3. 「未知」の呪い

この構成により、読者は身体の外部から作用する呪い、内部で起こる呪い、そして科学でもまだ完全には説明できない呪いについて、段階的に理解を深めていくことができます。

本書の魅力

1. 新鮮な視点

現役医学生という著者の立場が、本書に独特の視点をもたらしています。医学の最新知識と、オカルトへの好奇心が融合した内容は、読者を新たな知的冒険へと誘います。

2. わかりやすい解説

専門的な医学知識を、一般読者にも理解しやすい言葉で説明しています。複雑な現象も、身近な例を用いて解説されており、読みやすさが際立っています。

3. 幅広いトピックス

鬼、妖怪、都市伝説など、様々な「呪い」に関連する話題を取り上げています。読者は自分の興味ある分野から読み進めることができ、知的好奇心を満たすことができるでしょう。

批評的考察

1. 科学的厳密性の問題

本書は「科学する」と銘打っていますが、一部の説明に科学的な厳密さが欠ける部分があります。例えば、一部の現象の解釈が推測に基づいているように感じられる箇所があります。

2. 深掘りの不足

トピックスの幅広さゆえに、各テーマの掘り下げが不十分に感じられる部分があります。より詳細な事例や研究結果の紹介があれば、説得力が増したでしょう。

3. 「呪い」の定義のあいまいさ

本書で扱う「呪い」の範囲が広すぎるように感じられます。オカルト全般を扱っているような印象を受け、焦点が定まりにくい面があります。

編集部の評価

本書は、オカルトと科学の境界線を探る野心的な試みとして評価できます。著者の好奇心と知識が融合した文章は、読者を知的な冒険へと誘います。

しかし、「科学する」という観点からは、より厳密な検証と深い考察が求められる部分もあります。本書を入門書として位置づけ、さらに詳しく知りたい読者は、各トピックについてより専門的な文献にあたることをおすすめします。

総合評価:★★★☆☆(5点満点中3点)

オカルトや超常現象に興味がある読者、特に科学的な視点からこれらの現象を理解したい方にお勧めの一冊です。ただし、厳密な科学書を期待する読者には物足りなさを感じるかもしれません。